モロッコは、詰め込むより、いくつかを選んでじっくり味わう旅に応えてくれます。ここに挙げた25は、私たちのガイドが何度も戻る場所です。夜明け前に登る砂丘、杉とミントの香りがする路地、道が途切れる峡谷。それぞれ、どこにあり、実際はどんな時間になるのかを書きました。お持ちの日数に合わせて、ご自身のルートを組み立ててください。
キャラバンは夕方にメルズーガを出て、光が金色から薄紅に変わるころ砂の中へ入っていきます。想像よりゆっくりで、そして静か。十分もすれば、聞こえるのは足音と稜線を渡る風だけです。
長ズボンとスカーフを。日が沈むと一気に冷えます。
キャンプは村から見えない砂丘のくぼみにあり、足元には絨毯、夕食は幕の下で供されます。皿が下げられたあとは、焚き火と太鼓が夜を運び、冷え込みが人をテントへ返します。
11月から2月の夜は冷えます。フリースはスーツケースの場所に見合います。
暗いうちに起きる理由は日の出にあります。柔らかい砂の登りは骨が折れますが、稜線に立てば砂の海が幾重にも続き、太陽が地平線を越えるほどに色が刻々と変わります。
日の出の約40分前に出発し、裸足で登るのがおすすめ。靴は砂で埋まります。
町の灯から離れた砂漠では、夜空がその晩の主役です。キャンプのラウンジは投光器ではなくランタンの明かり。目が慣れるころ、星が地平線から地平線まで埋め尽くします。
15分ほど目を慣らし、画面の明かりは消しておきましょう。
4WDならラクダでは届かない場所へ行けます。平らなハマダ、黒い火山岩、砂の縁に寄り添う集落。砂丘走行そのものは短くて濃密で、エンジンをうならせながら数分間、登っては滑り降ります。
乗り物に弱い方は午前の便を。空気は涼しく、風も穏やかです。
バギーはラクダとは正反対のにぎやかな相棒で、エルグ・シェビーの広さを体で知る近道です。ルートは砂丘の裾の締まった砂をたどり、ガイドが先導します。
サングラスと顔を覆う布を。砂は一緒に旅をします。
マラケシュの大広場は、毎晩そのまま屋外の厨房になります。番号のついた屋台、立ちのぼる湯気、見知らぬ人と分け合うベンチ。にぎやかで芝居がかっていて、今も街が食事をする場所です。
ひと回りしてから選び、料理が来る前に注文内容を確認しましょう。
広場の北で、メディナは頭上まで覆いかぶさってきます。革のトンネル、ランプの店、染物の路地。迷うのも楽しみのうちで、路地はいつか見覚えのある通りへ返してくれます。
目印と「出る時刻」だけ決めて、あとは地図を見ずに歩きましょう。
古いクルアーン学院は、マラケシュでいちばん静かな空間です。彫られた杉、漆喰、ゼリージュのタイルが、波立たない水盤を囲みます。早い時間なら中庭はほとんど独り占めです。
朝がもっとも静かで、タイルに当たる光もその時間が一番です。
フェズは今も動いているメディナです。荷を積んだロバ、扉の奥ごとの工房、エンジン付きの乗り物が入れない細い道。ひと朝歩けば、中世の町が今日どう暮らしているかが見えてきます。
最初の半日は地元ガイドを。路地は本当に迷います。
フェズの石の染め槽は、何世紀も手作業で使われてきました。見下ろすテラスは革製品店のもの。においは本物で、色は圧巻、そして眼下の仕事は重労働です。
鼻の下に当てるミントを手渡されます。ありがたく受け取りましょう。
店先の奥で、メディナは巨大な工房になります。炉に向かう鍛冶職人、杉を削る木工、銅細工、織り手。立ち止まって眺め、作った本人から買う——それが一番のおみやげです。
作業中の人を撮る前にひと声を。たいていは快く応じてくれます。
マラケシュからワルザザートへの道は、クルミの木の村とつづら折りを抜けて峠に達し、そこから赤いカスバの土地へ下っていきます。道そのものが目的地で、時計より停車の回数が大事です。
登りの展望台で停まりましょう。正午前のほうが光がきれいです。
ウニラ川を見下ろす土の塔はユネスコ世界遺産で、幾度も映画の舞台になってきました。川を渡り、路地を上って、頂の共同倉庫から谷を見返します。
ワルザザートから約30分。強い光を避けるなら朝か夕方に。
石灰岩の壁が道幅ほどの回廊に迫り、底には細い流れがあります。ホテルの先まで歩けば音が消え、頭上の岩にはクライマーが張りついています。
夕方は上部の壁に光が当たり、人も少なくなります。
ワルザザートと砂漠のあいだで、ダデスはオアシスの帯を引き、斜面にはカスバが並びます。有名なつづら折りは停まる価値がありますが、速度を落としたくなるのは両側の村の風景です。
メルズーガまで一気に走らず、ここで一区切りを。
ワルザザートの南、道はモロッコ最長の川に沿って、ナツメヤシと日干しレンガの村の回廊をザゴラまで続きます。これほど緑の濃い砂漠は、ほかにありません。
ナツメヤシの収穫は秋。道端の売店では生の実が並びます。
百通りの青に塗られた町が、リフ山地の斜面に積み上がっています。路地と階段を半日も歩けば十分で、町を見下ろす展望地は夕方の光のために登る価値があります。
人が暮らす町です。扉や人を撮る前にひと言を。
内陸が焼けるころも、大西洋の風がエッサウィラを涼しく保ちます。スカラの城壁は大砲を残したまま海に向き、下の港は魚とペンキの匂いがします。
夏でも上着を。風はやみません。
アガディールの北はポイントとビーチブレイクが続き、村ごとにサーフスクールがあります。初心者には長くて優しい波、うねりが入ればリーフがそれ以外の人を迎えます。
冬はうねりが大きく、夏は穏やかで練習向きです。
アガディールの湾は長い砂の弧で、その背に遊歩道が延びています。波打ち際では夕方のひと歩きを待つラクダたち。長いフライトのあと、これ以上やわらかい着地はありません。
乗る前に、コースと料金を決めておきましょう。
カサブランカの大モスクは大西洋の上に建ち、その大きさは、うねりが砕ける音を足元に聞きながらミナレットの真下に立って初めてわかります。ムスリム以外の方もガイド付きで内部に入れます。
拝観時間は当日に確認を。礼拝の時間で変わります。
ベンディールの太鼓、手拍子、掛け合いの歌。南部の夜はこうして過ぎていきます。焚き火を囲んだ野外の演奏は上演というより会話で、客人もすぐ輪の中へ引き入れられます。
太鼓を差し出されたら、どうぞ受け取って。リズムを採点する人はいません。
緑茶、摘みたてのミント、砂糖。高い位置から注いで泡を立て、しかも一杯では終わりません。店でも、キャンプでも、家でも供され、会話はそこから始まります。
二杯目を受けるのが普通です。三杯とも断るのは避けましょう。
炭火でゆっくり煮込むタジン、まず並ぶ温野菜のサラダ、金曜日のクスクス、そしてカトラリー代わりのパン。ガイドが普段どこで食べているか尋ねれば、どんなリストより確かです。
アレルギーやベジタリアンのご希望はご依頼時にお知らせください。厨房は前もって準備します。
気になるものと、使える日数をお知らせください。地図の上で無理のない順番に並べ替え、ご旅行日程と人数に合わせたお見積りをお送りします。